愛している分だけ
我が家は共稼ぎです。ですから家事は分担することにしています。僕の担当のひとつは食器洗いです。それぐらいで分担しているなんて偉そうに言うなとお叱りを受けそうですが、家事の分担に関しては、お互いの仕事量のバランスというよりは、気持ちの部分も大きいかなと思っています。
女性が台所仕事をしている時に、居間でテレビでも観て大笑いしている夫を快く思っている女性はいないと思います。少しでも自分のことを気遣ってほしいというのが女性の思いなのではないかと、勝手に思っています。
前置きはさておき、最近の僕は皿洗いの時にポッドキャストを聴くことが多くなっています。今朝TBSのセッションを聴いていたのですが、パーソナリティーの荻上チキさんとフォトジャーナリストの安田菜津紀さんのトークに感動してしまいました。
それは安田さんがシリア難民の方々を取材していた時のこぼれ話です。まずは難民キャンプで赤貧の暮らしをしている難民の方を訪ねると、みんなが甘いお茶をたくさん振る舞ってくれるんだそうです。
そして安田さんがお友達になった難民の方で、現在はドイツに避難して国籍も取得した方のお宅を訪問した時に、ラマダンの豪華な夕食が振舞われたそうです。安田さんが遠慮がちにしていると「我々を愛している分だけ食べなさい」と言われたそうです。
僕は「愛」ってことばは難しいなと日頃から思っているのですが、このエピソードを聴いたら、ただ素直に「愛してる!愛してる!」と声に出して言いたい気持ちになりました。
なんだかんだ言って僕たちは豊かな国に住んでいて、危ういことに手を出さずにいれば、きっと世界平均以上の暮らしができているんだと思います。でもどこかでケチケチしてしまう自分がいます。
そういえば以前ムスリムの方が「僕たちは宵越しの金は持たない」と話していました。それはお金がなくなれば同じムスリムの兄弟姉妹が手を差し伸べてくれるからということでした。同じ宗教者同士で生活協同組合というか、保険システムが出来上がっているんだなあと感心したものです。シリア難民の方々はおそらくムスリムの方でしょう。
僕はクリスチャンで「愛」ということばを口にしますが、実際に「愛」を自分の中に見つけることが難しいものです。「愛している分だけ食べなさい」と、ふっと言えるようになりたいものです。