この音はピアノじゃないからなあ
CDペトラ通りのレコーディングのことを2回に渡って書いてきましたが、もうひとつお付き合いください。
レコーディングは録音が終わるとミックスダウンの工程に入ります。ご存知だと思いますが、録音は多くのマイクを使って、それぞを別のトラックに録音します。例えばドラムスだけでも5トラックくらいは使っています。
録音した音源は最終的にステレオにします。ステレオは右と左の2トラックですから、沢山のトラックの音量バランスを整え、音が聞こえて来る左右の位置や奥行きを決めて、2トラックにまとめるわけです。なのでトラックダウンというのだと思います(ここまできて思いますですみません汗)。
そのトラックダウンに入った時、レコーディングエンジニアのジョージさんがピアノの調整をしながらひとこと、「この音はピアノの音じゃないからなあ・・・、どうしよう?」と呟きました。
僕は「え!」と驚いてしまいました。ピアノを弾いたんだからピアノの音ジャン、と思ったわけですが、その後言われた意味がわかってきました。
ジョージさんのスタジオにあるピアノは、かのベーゼンドルファーです。ペトラクラブのピアノは使い込まれたアップライトピアノです。確かに管理されたベーゼンドルファーと比較すれば、長年の疲労が隠せないくすんだ音色のピアノでした。
しかし「ペトラ通り」はこのピアノの音から始まるんで。その曲はGOD BLESS YOUです。
今多くの方々に親しんでいただいている曲となったGOD BLESS YOUが世に出たのはこのCDからです。今ではこのピアノの音色がなんとも愛しく感じます。ぜひ一度聴いてみてください。