おもしろ話(7)

06/24/2023

小坂忠さんが団長、僕が副団長で何度かツアーをしたことがあります。そのうちの2回はイスラエル旅行でした。

最初のイスラエル旅行のコースはドイツ乗り換えでエジプトのカイロに入り、シナイ半島を経由してイスラエルに入るというルートでした。

カイロではカイロ博物館を訪れたのですが、見学を終えてバスが発車した時にツアーメンバーから「〇〇さんが乗っていないです」との声が上がりました。「〇〇さんいますか」と呼びかけても返事がありません。どうやら〇〇さんをカイロ博物館に置き去りにしてきたようです。副団長の僕としては大変なミスをしてしまったことになります。

すでにバスは走り出していて、ナイル川に架かる橋を反対側に渡っていました。急遽バスを停めてもらい僕はその橋を走って戻り、博物館へと戻りました。

集合場所に着いてみるとそこに不安そうにしている〇〇さんの姿がありました。しばらくしてバスも戻ってきて事なきを得ましたが、今でも冷やっとする思い出です。それにしてもナイル川を走って渡る脚力があったなんて驚きです。

カイロでは郊外のギザのピラミッドも見学に行きました。バスが観光ポイントに停まる度に物売りの少年が「ジェンブデシェンエン、ジェンブデシェンエン」と繰り返していました。そう「全部で千円」ということです。

この「シェンエン」で買えるものは、ピラミッドに近くなると数が減り、遠くなると数が増えました。少年に「さっきは同じ金額でこれだけ買えたよ」と言うと、「モンキービジネスさ」と返ってきました。そりゃあそうでしょうよね。ちなみにラクダはジェンブシェンエンじゃなかったっけなあ。

さてピラミッドの中でもクフ王のピラミッドは内部が見学できます。狭い洞窟のような階段をしばらく登っていくと前の方から人の気配がしてきました、奥まで着いて戻ってきているグループなわけですが、次第に聴こえてきたことばは韓国語でした。エジプトのピラミッドの中でなんとお隣の国のことば・・・、には少々調子が狂った感じになりました。まさかここで韓国のグループとすれ違うとは・・・。あちらも同じ気持ちだったでしょうね。

カイロで驚いたのは犬が元気なこと。ホテルの庭を3頭の犬がチーターのように駆け回っていたのをおぼえています。それから街中はどこでも車のクラクションが賑やかに鳴っていました。その道端で水タバコを吸っている男性たちはなんとも異国的で、映画でも観ているようでした。

そんな街中で僕が「これは無理!」と思ったのは道路の横断です。それは横断がほぼ命がけだからです。人が渡っていても車は速度を落とす気配はなく、人も車が停まるのを待つわけでもなく、走り過ぎる車の間を縫って踊るように歩いていました。僕が歩いて渡れるようになるまで何度死ねばいいんだって感じでした。

こうして書いていたらカイロ空港に降り立った時のコークスのような匂いを思い出しました。あれって砂の匂いだったのかなあ・・・。