人生最高のご馳走

昨日は思いがけなく人生最高のご馳走をいただきました。それは由美子さんが作ってくれた天ざるうどんです。どうして人生最高かと言いますと、由美子さんは昨年前半より胃腸の調子を崩して通院していましたから、家で天ぷらを揚げることはありませんでした。そして秋に癌が見つかってからはもちろん一度もありませんでした。そればかりか料理をすることもままならない状態でした。

それが昨日は由美子さんが率先して天ぷらを揚げてくれたんです。これには正直驚きました。さすがに由美子さんは油っこいものは食べられないので、僕のために作ってくれていたんです。

奥さんが家族のために料理をするのは当たり前だと思っていたら大間違いだということが今の僕にはわかります。それは由美子さんの闘病ケアのために秋からは主夫をしてきたからです。毎日献立を考えて料理をすることがどれだけ大変かを身をもって知りました。

天ぷらは由美子農園で採れたネギ坊主と春菊です。先日畑の畝作りを手伝った時にネギ坊主があるなあとは思いましたが、食べたのは人生で初めてのことでした。

僕は食べながら感動してグッときてしまいました。「泣いてるの?」と由美子さんが。

泣いてはいなかったと思いますが、それに近い状態ではありました。

とにかく由美子さんが料理をする気になるまで心身が回復してきていること。しかもネギ坊主の天ぷらなんていう初めてのチャレンジをするくらいの回復状況であること。家の中に天ぷらを揚げている匂いが漂うという、忘れていた日常に包まれたこと。そしてとても美味しかったこと・・・。ひと口ごとに、ここまでの大変なことが思い返されてきて、そりゃあグッときますよね。