気温の変化とチューニング
東京キリスト教大学のレッスンは音楽室ではなく、普通の教室を使っています。大体の受講生は自分の時間が来る前に教室の前の椅子に座ってチューニングをします。
秋が過ぎて気温が低くなってきたあたりから、ウクレレの受講者でチューニングが違っている人が目立つようになりました。「チューニングが違っていますね」と言うと、「廊下で合わせてきました」と言うんです。廊下より室内の方が気温が高いので、弦が伸びて音程が下に下がっているのならまだしも、ウクレレは音程が上がっているんです。
この時点で僕は、弦というものは室温が上がれば伸びて音程が下がると思い込んでいました。というのも鉄の弦を張っているアコースティックギターの場合は確実にそうだからです。
ウクレレの受講者の中のある方はトランペットを吹いているのですが、チューニングの話題になった時に「管楽器は温度が上がると音程が上がるから、ウクレレも同じだと思っていました」と言ったのです。この「温度が上がると音程が上がる」は結構ショックでした。管楽器だって温まって伸びたら音程は下がるだろうと思ったわけです。必死で頭を働かせて、そうか管楽器は内部に向かっても伸びるから血管が狭くなったみたいになって音程が上がるのかもしれない・・・、と考えました。
しかし調べてみると全然違っていました。それは暖かくなると空気の密度が高くなって音程が上がるのだそうです。ヘリウムガスで声が変わるのと同じ原理なのだそうです。これはアチャー!でした。なんと生まれてからこの方知りませんでした。僕はブラスバンドでホルンとトランペットを吹いていたこともあるというのにです・・・。
ひとまず管楽器はこれで良しとしましょう。ウクレレ問題が残っています。これも調べてみたらわかりました。アコギとウクレレの弦は全く違います。アコギは鉄弦ですがウクレレはナイロンなどの柔らかな材質でできています。その場合ゴムと同じ現象が起こるそうなのです。どんな現象かというと、ゴム弾性の特徴のひとつに、一定張力下では温度の上昇により長さが縮むんだそうです。だから寒い廊下から教室に入ると音程が上がるわけです。
あ〜知らなんだ〜!知らなんだ〜!目から鱗とはこのことだあ〜。